紀州鉄道のひとつの名物でもある、往年の湘南窓ディーゼルカー「キハ603」が2009年度内に廃車となる模様です。
ソースは日高・御坊地域の地方紙「
日高新報」
朝日を浴びて西御坊駅を出発するキハ603始発列車。車両基地?は紀伊御坊駅だが、早朝にここから回送されて西御坊駅へ着き、それから始発となる。
ソースによると、キハ603は営業用としては廃車にするものの、解体などにはせず、何らかの形で保存する方向だそうです。
その代替として、紀州鉄道で既に活躍中のキテツ1型レールバス(LEカー)と同形の車両が1両導入されて来ています(
日高新報)。
元北条鉄道のレールバスです。
かつて第3セクター鉄道の申し子?とまで言われた2軸レールバスは、車体の老朽化やメンテナンス用部品の不足などもあって、現在では珍しい部類になっています(
製造元の富士重工ではバスなみの車体寿命を見込んで製造したので、鉄道のように何十年も使い続ける前提ではない)。
営業用に現存する例は、この紀州鉄道ぐらい。兵庫県の北条鉄道も、つい最近まで営業運転していました。近江鉄道などでも見かけましたが、ほとんど活躍の場がなく置いているだけ…
ありし日の北条鉄道レールバス「フラワ1985」。形式名は、導入された年をそのままあてはめたもの。
北条鉄道では、2009年に同型レールバスである「フラワ1985」が廃車(
形式消滅)され、それが今回紀州鉄道に譲渡されたわけです。紀州鉄道でのキテツ1も、元々は北条鉄道から譲渡されてきたフラワ1985-2でした。
北条鉄道と紀州鉄道は、経営的に全く関係はありません。紀州鉄道は、戦前の地方私鉄ブームの際に「御坊臨港鉄道」の純私鉄としてスタートし、現在は不動産会社の傘下。北条鉄道は元々国鉄北条線で、JRに民営化される直前に特定地方交通線として第3セクター化された経緯があります。
しかし紀州鉄道がレールバスを1両譲り受けた関係から、次の車両も北条鉄道からという「縁」があったものと思われます。同形車だと整備もやりやすくなるためでしょう。
今回2009年にフラワ1985が廃車になった理由は、2008年に廃止となった三木鉄道からボギー式軽快ディーゼルカーが譲渡されたので、玉突き的に押し出されたためです。
タイミング的にはすごく良く出来たシナリオ?のような気もしますが…
三木鉄道のボギー式軽快ディーゼルカー(富士重工LEカー系列)ミキ300形
北条鉄道の北条町駅(終点)で展示されている、フラワ1985-2の動輪。これは北条鉄道のフラワ1985-2が紀州鉄道「キテツ1」として譲渡された際、老朽部品として車輪が交換されたものが北条鉄道側に返還されたのち、駅前にて展示されているもの。色々と縁があります。
個人的な感傷としては、やもすると軽便鉄道風の昭和的香りがする紀州鉄道では、キハ603には現役としてタイムスリップ鉄道みたいに営業用として走ってもらいたいとは思います。
ローカル線趣味としても、旧型キハが現役で走っているところって最早数少ないですし、旧国鉄車やその類型(
小湊鉄道は実質キハ20のマイナーチェンジ)以外の純粋な私鉄ディーゼルカーとしては「宝物」みたいなものだからです。
かつて気動車博物館とも呼ばれた鹿島鉄道(
茨城県)は、今やありませんし…
しかし実際的には、車両老朽化や部品の替えがなくなったこと、冷房が付いていない点など、如何ともしがたい部分が増えすぎたのです。
車両を同じ形式で統一するのは、整備の面から見てもメリットがあります。
分かってはいるのですが…
キハ603を製造した新潟鐵工所は、ディーゼルカーの老舗であるだけでなく、個人的には車両メーカーの存在を意識するキッカケとなったところ(
メーカーごとの個性など)でもあり、その車両がまた1両現役を退くのかと思うと寂しいものがあります。
蛇足ですが、鹿島鉄道廃止後に一部がスクラップとなってしまった軽快ディーゼルカーKR500を譲渡してもらった方が良かったのでは…なんて あっちはボギー車ですし、レールバスに比べれば車齢は新しく、しかも新潟鐵工所製。だが運搬距離が遠いか…
拙著「LOCO紀州鉄道大特集」で特集していた関係から、キハ603の写真がいくらかありますので、掲載してみます。
本文はモノクロ印刷だったので、カラーでどうぞ。
JR御坊駅で紀勢本線と並ぶ
昔ながらのキハ603のサボ
キハ603用の部品取りに使われていた、同形のキハ604